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野球人口は減り続ける!?技術以外の「未来に向けた指導」が必要な3つの理由

高校野球が盛り上がりを見せている最中、再びコロナウィルスが猛威をふるい出し、無事に大会が全う出来ることを切に願っています。

一方で、合同チームの出場が増えてきていることに危機感を覚えています。

「野球人口が減っている」ということが話題に上がって久しいですが、実際にどのくらい減っているのかご存じでしょうか?

全日本野球協会によると、小中学生の野球人口は2007年に約66万4千人であったのが、2020年には、約40万9000人にまで減少しています。

【参考 :一般財団法人 全日本野球協会 https://baseballjapan.org/jpn/system/prog/bfj_news.php?&i=106

「子供が減っているのだから当たり前」

と思う方もいるでしょうが、実はこの数字、少子化の7~8倍のスピードで減少しているのです!

さらに、スポーツ庁のデータによると、「中体連競技者別加盟人数」では、軟式野球人口は2009年度に約30万7千人でありました。
しかし、このまま減り続けると、2048年度には、約2万3千人にまで減少するという推定データがあるのです!

【スポーツ庁から引用】

【スポーツ庁 :https://sports.go.jp/special/value-sports/30.html

このデータを見て、皆様はどう思うでしょうか?

野球一家で育ち、子供の頃から野球が身近にあることが当たり前の環境で育った筆者にとっては、非常に衝撃的で、「悲しい、どうにかしたい、楽しさや魅力をもっと感じてもらいたい」という気持ちに強くなりました!

上記のグラフを見てもお分かりの様に、実は「球技」の人口が減っています。
中でも野球の減り方は異常と言えるでしょう。

そこで、何故、野球人口が減少しているのか、根本的な理由があるのでは無いかと考え、現在も野球に携わる仕事をしている身として徹底調査をしました!

そこには、今後を支える子供達のために本気で考えなければならない「未来に向けた指導が必要」な理由がありました。

かつて、「誰よりも速い球を投げたい!」「誰よりも遠くへ飛ばしたい!」という誰もが1度は夢を見た野球に変化が訪れています。

世界に誇れる日本の野球が無くなる危機を迎え、子供達の未来に可能性を与えるためにも、是非、最後までご覧下さい。

【関連記事 :高校野球・中学野球の選び方について、別記事で紹介しています!是非、ご覧下さい!】


目次

野球人口が減少する理由4選

単に少子化が理由とは言えないデータを冒頭で紹介したとおり、圧倒的に減っている野球人口。
その理由はどこにあるのでしょうか。

筆者は現在も野球に携わる仕事をしており、小中学生のクラブチームで様々な選手や保護者様と接する機会があります。

そこでの意見や、リサーチから見えた野球人口減少の理由を紹介します。

理由①球技離れ

筆者が子供の頃は、球技が身近にあり、当たり前の様に毎日、球技で遊んでいました。
学校から帰ったら公園で野球、飽きたらサッカーといった様に。
しかし、現代は球技そのものを禁止にしている公園が大半を占め、単純に球技に触れる機会が少なくなっています。

そのため、保護者の方が球技をお子様にさせたくても、お子様自身に実感や自信が無いという現状があります。
実際に、「投げる」という能力では、顕著なデータがあります。

【スポーツ庁からの引用】

【スポーツ庁 :https://sports.go.jp/special/value-sports/30.html

スポーツ庁のデータですが、明らかに年々低下傾向にあります。
野球人口の減少の一因となり得るものでしょう。

理由②働き方の変化

一昔前と比べて、変化したことと言えば、働き方も大きな変化があります。
中でも、共働き世帯の増加は顕著です。
総務省のデータによると、40年前に比べ、約2倍の世帯が共働き世帯となっています。

【総務省データ引用】

【総務省統計局 :https://www.stat.go.jp/library/faq/faq16/faq16a12.html

出来るだけ、親に負担の少ない競技を選ぶという心理が働きやすい環境になったと言えるでしょう。

理由③野球=昭和的な体質と体制

野球といえば、いまだに罵声が響いたり、体罰があったりという「体質」
保護者の当番制や過度な走り込みや投げ込み、長時間練習から怪我が多いという「体制」のイメージが強いのではないでしょうか。

そうしたイメージから、大谷翔平選手の様なスターが誕生し、子供達がいざ「野球をやろう」と思っていても、保護者の方が二の足を踏んでしまうケースは非常に多いです。

【関連記事 :大谷翔平選手については、こちらの記事でも紹介しています!是非ご覧下さい!】

理由④勝利至上主義

スポーツは、勝利を目指すことは当然です。
同じ目標に向かって努力することは、チームとしても大切な要素であることは間違いないでしょう。

しかし、同じ選手ばかり出て、チャンスも無ければどうでしょうか。
成長期の子供達は、成長速度に差があります。試合に全く出られないと分かっているチームに選手や保護者は入るでしょうか。

目先の勝利にこだわりすぎ、早熟の選手ばかりを起用していては、成長速度の遅い選手の成長に足枷を履かせてしまうことになります。

選手の将来を第一に考える指導が求められます。


野球少年が野球を通じて技術以外に備えるべき能力

一昔前の野球は、「こんなことも耐えられなかったら社会で通用しない!」といった考えが主流でした。

そのため、過度な走り込みや投げ込みは当たり前。朝から暗くなるまで練習するのも当たり前。少しくらい痛くてもプレーを続けるのが当たり前。ミスをしたら罵声や体罰を受けるのも当たり前。
という「当たり前」が常識とされた指導でした。

そういった指導を受けてきた選手が、現在は指導者となって活躍しているのです。

自分が受けてきた指導を「正当化」させたいという想いが働き、指導者になっても、自分が受けた指導をそのまましてしまう指導者もいるのが現状です。

何故、その様な指導が「当たり前」とされてきたかというと、日本の文化が影響していると考えます。

1つのことをやり続けることや、周囲と同じことを同じ様にやり続けることが美徳であり、上司の無理難題にイエスと答えられる人間こそが素晴らしいとされ、社会を生きるために必要な「根性」とされてきたからではないでしょうか。

しかし、時代は変わりました。

現代は、「VUCA」の時代と言われているのをご存じでしょうか。
昨今の目まぐるしい社会情勢の変化を指した言葉で、「先行きが不透明で将来の予測が困難」であることを意味しています。

今までの常識が非常識になる時代へと変化しているのです。

1つのことだけを黙々とやり、ミスをすれば叱りつけられる指導で、予測困難な時代を乗り越えられるでしょうか。

従来の指導方法全てが間違いということではありませんが、子供達が未来の社会で通用する指導へと、柔軟な変化が求められていると言えるでしょう。


未来に向けた指導が必要な3つの理由

では、ここまで、野球人口が減少している理由や、今後、子供達が備えるべき能力を説明してきましたが、「未来に向けた指導」とはどの様なものでしょうか。
「未来に向けた指導」が必要な理由から紹介していきます!

子供の成長速度は人それぞれ

成長期の子供は、早熟の子もいれば、時間のかかる子と様々です。
子供の適性を見極めるのは非常に困難でしょう。

求めたいのは、成長速度で選手起用を判断し、行き過ぎた勝利至上主義を改めることです。

選手の可能性に目を向け、「選手の将来」に役立つ指導が必要と言えます。

社会が求める人材の変化

先に書いたとおり、現代は「VUCA時代」と言われています。
VUCAとは、

  • V(Volatility:変動性)
  • U(Uncertainty:不確実性)
  • C(Complexity:複雑性)
  • A(Ambiguity:曖昧性)

の頭文字をとったもので、将来の予測が困難な時代であるということです。

そんな現代を生き残る上で必要と言われる能力は、

  • 情報収集力
  • 自らの頭で考える力(AIに負けない、人でしか考えられない力)
  • ポータブルスキル(持ち運べるスキル(転職力))

と言われています。
また、「PDCA(計画、実行、評価、改善)」という言葉は聞いたことがあると思いますが、現在は、VUCA時代への対応として、「OODA(ウーダ)ループ」が必要と言われているのです。

「OODA(ウーダ)ループ」とは

  • 「観察する(Observe)」
  • 「状況を理解する(Orient)」
  • 「決める(Decide)」
  • 「動く(Act)」

の頭文字をとった言葉です。

つまり、従来と違い、まず観察して状況を理解し、状況に応じた決定をして行動する。というループが必要という考え方です。

変化し続ける時代の中で、重要なスキルと言えます。
まさしく、野球で言えば、1球1球、状況は変化します。
その変化を自ら感じ取り、考えて最適な判断をすることが、野球ではチームプレーで行えます。

指導する側が理解して行うことで、決して根性論では無い、現代社会に必要なスキルを身に付ける場として、うってつけのスポーツとなり得るでしょう。

※ 「OODA(ウーダ)ループ」については、別記事で詳しく紹介致します!
しばらくお待ちください。

現代に応じた体制

野球というと、保護者が大変というイメージは根強いでしょう。

筆者が知る、中学硬式野球チームでは、平日の「夜練」にも当番制があり、保護者の出欠席まで取られ、選手起用に影響させているチームもあります。
「夜練」への参加のため、仕事を早退する保護者までいるほどです。

また、少年野球チームでも、大御所の監督の飲み会は絶対参加!という暗黙のルールが敷かれたチームがあります。
未だにそういったチームがあるのが現状なのです。

これらは、「子供達のため」なのでしょうか。筆者は、全く必要ないと思っています。

現代の働き方は、共働きが主流となってきています。昔のように、女性が気軽にお当番に参加出来る時代は終わったのです。

もし、子供達が、自分が野球をすることで苦労している親の姿を見たら、どう思うでしょうか。
プレッシャーに感じる子もいるでしょう。また、自分が親になった時、気軽に野球を薦めることができるでしょうか。
苦労した世代が指導者になっている今だからこそ、変化させていくべきでしょう。


野球人口に歯止めをかけるための取り組み例

では、実際に野球人口に歯止めをかけるための様々な取り組みを紹介します!

是非、参考にして頂き、マネできるものはマネしてみて実践してみましょう!
まずはトライアンドエラーです。やってみましょう!

競技者登録システムの導入

バスケットやサッカーでは既に導入されて当たり前になっている、競技者登録システムの導入が進められています。

野球は他競技に比べ、こういった取り組みに移行するのが遅いのが特徴です。

把握出来る様になれば、問題点や現状が一目で分かり、対策もしやすくなるでしょう。

【野球人口回復へ… fullーcount :https://full-count.jp/2022/03/01/post1188846/

例②全国での野球教室活発化

様々なプロ野球球団が中心となって活動が活発化しています。

単純に、思い切り打つ、思い切り投げるといったことを思い切り楽しんでもらうという活動は、非常に有意義な時間となります。
「野球は楽しいから、やるのが当たり前」という考えを捨て、「楽しさを知ってもらう」活動が必要でしょう。

【野球人口減少を食い止めたい… fullーcount https://full-count.jp/2022/05/03/post1215763/

理由③制度の見直し

2018、2019年と2年連続日本一に輝いた「多賀少年野球クラブの取り組みです。

怒声・罵声を禁止、保護者のお茶当番無し、クラウドファンディングの活用、ノーサイン野球といった、従来の野球チームからすると革新的な取り組みをしているにも関わらず全国制覇しています。

チーム方針は、「世界一楽しく!世界一強く!」

「当たり前」とされてきた野球界の常識に疑問を持ち、より楽しみながら野球をする姿勢は、少年野球というカテゴリーを超えて注目すべきでしょう。

【少年野球日本一の監督が制度の見直し訴え… full-count https://full-count.jp/2022/05/24/post1225476/


まとめ

いかがでしたでしょうか。
従来の野球観を根本から見直し、現代、さらには未来を見据えてアップデートしていくことが必要と言えるでしょう。

理論派で知られるメジャーリーガー、ダルビッシュ有選手も、あるインタビューで「知識を更新していかなければ変わらない」と、日本野球の問題に警鐘を鳴らしています。
また、同インタビューでは、現代野球のデータの必要性も訴えています。
自分や指導者の感覚と、実際のデータにはズレがあるとのこと。

現代野球には、データを取り入れていくことが、説得力と技術向上を生むと言えます。

【参考 :realsports ダルビッシュ有が考える日本野球界の問題https://real-sports.jp/page/articles/266435682434548571

従来の指導が全て間違いと言うわけではありません。
しかし、時代の変化と共に、「自分がやってきたことは全て正しい」という認識は改め、アップデートしていかなければ、いくら魅力的なスポーツでも遅れをとったものには付いていかないでしょう。

野球人口減少に歯止めをかけ、野球少年のことを真に想うならば、指導者や関係者の時代にあったアップデートが必要と言えるのではないでしょうか。

「誰よりも速い球を投げたい!」「遠くへ飛ばしたい!」と無邪気に誰もが思えた時代は楽しい記憶ではないでしょうか。

そんな想いを子供達にもさせてあげましょう。

誰もが白球に夢中になれる環境に向けて今後も発信を続けていきます!
筆者は、野球には「子供達の未来に向けた指導」が可能であると信じています。

【この記事を書いた人はこんな人です!是非、ご覧下さい!↓↓】