【予防】歩行者妨害違反を防ぐ3つのポイント「学んで防ぐ!犯罪や交通違反の予防シリーズ」~歩行者妨害違反を知っていますか?
皆様は、歩行者妨害違反(横断歩行者等妨害等違反)って知っていますか?
あまりなじみの無い方が多いのではないでしょうか。
では、横断歩道を渡ろうとしている人がいた時に、車は停止しなければならないことは知っていますか?
こちらは教習所で習った記憶があるけど、実際に常に止まれているかと聞かれると、自信の無い方が多いのではないでしょうか。
この横断歩道を渡ろうとしている方がいるのに車が止まらなかった場合、歩行者妨害違反(横断歩行者等妨害等違反)として、違反になるんです!
では、
「横断歩道の手前で気が付いて、急で止まれなかった」
「止まったけど歩行者が譲ってくれた」
「横断歩道の無い道路を渡ろうとしていても譲らないといけないの?」
など、疑問に思うところもあるとおもいます。
実は、この歩行者妨害違反は、違反件数が年々増加している他、交通死亡事故件数での割合も「車と横断歩行者」の割合は非常に高いケースなんです!
正しく守ることで、不幸な事故を防ぐための大切な交通ルールです。
日常生活を過ごしていて、
「えっこれって違反なの⁉️」
「これで犯罪になるの⁉️」
「この道危ないな」
と感じることは多いと思います。
私は某県警察官として約18年勤務し、管理部門や警察相談を長年経験する中で、その様な事例を数多く目の当たりにしていきました。
中には、納得のいかない取り締まりを受けてしまった方も多くいらっしゃいました。
規則があることには理由があるため、警察がルールに乗っ取った取り締まりをするのは仕方がないのですが、もっと広報やお知らせをすれば、防げた犯罪や違反があるのではないかと思っています。
警察の仕事は、警察法2条に基づいて行われています。
警察法2条とは、警察の仕事について書かれているもので、警察は犯罪の予防、鎮圧、及び捜査、交通の取り締まり、公共の秩序を保つこと…
などと書かれています。
私としては、現職中からその、予防に特化していきたいと強く思っておりました。
思いがけず犯罪となってしまったり、巻き込まれてしまったりするケースや、ふとしたことから取り締まりを受けてしまった方もいらっしゃると思います。
そこで、「学んで防ぐ、犯罪や交通違反の予防」シリーズとして、今回は歩行者妨害違反(横断歩行者等妨害等違反)の交通違反について、防ぐ3つのポイントをご紹介致します。
学んで防ぐことで、結果として不幸な事故や事件を防ぐことにもなりますので、是非、最後までご覧頂ければ幸いです。
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目次
歩行者妨害違反(横断歩行者等妨害等違反)を防ぐ3つのポイント
後ほど説明致しますが、道路交通法で書かれている「歩行者の通行を妨げる」という部分がだいぶ関わってきます。それを踏まえたポイントです。
①横断歩道は徐行か停止
横断歩道近辺は徐行し、歩行者がいれば停止しましょう。
②道を譲られても停止・徐行
横断歩道で停止し、歩行者から道を譲られても、ケースによっては違反になるケースがあります。
例え譲られても、停止してから徐行通行しましょう。
交差点の右左折に注意
特に、交差点の右左折は、死角にいる歩行者に気が付かないケースが多いです。
曲がる時は、しっかり左右を確認しましょう。
また、よく通る道の規制を知ることで、事前に把握できます
通勤や、急いでいると、うっかり横断歩道を見落としたり、交差点でも簡単に右左折してしまいがちです。
重大な事故に遭ってからでは手遅れです!車は凶器になり得ることを考えて運転しましょう。
歩行者妨害違反(横断歩行者等妨害等違反)とは
そもそも歩行者妨害違反とはどの様なケースをいうのでしょうか。
法律では、道路交通法の第38条に記載されています。
(横断歩道等における歩行者等の優先)
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/oudanhodou/info.html
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。
(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
難しくかいてありますが、要点をまとめるます。
- 歩行者が明かにいない時以外は、横断歩道手前はいつでも止まれる様にしておく(徐行)
- 横断歩道に歩行者がいたり、渡ろうとしたりしている人がいたら、停止する
- 横断歩道手前で駐車中の車がいたら、停止する
- 横断歩道30メートル手前からは追い越し禁止
- 横断歩道のないところで横断する人がいても停止する
といった内容です。
当たり前のことですが、原則、歩行者優先です。
罰則については、
・横断歩道等における歩行者等の優先
罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
反 則 金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
基礎点数 2点
・横断歩道のない交差点における歩行者の優先
罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
反 則 金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
基礎点数 2点
と決して軽いものではありません。
歩行者妨害違反に関する交通事故の発生状況
冒頭にも記載しましたが、歩行者妨害違反に関する交通事故の件数や、交通違反の発生は増えています。
以下、データを交えてご紹介します。
自動車と歩行者の交通死亡事故発生件数
警察庁のデータを基にご説明致します。
グラフを見ると、以下の特徴が分かります。
- 過去5年で5,052件発生
- 発生の約7割が歩行者横断中に発生
- さらにその内の約7割は、車の直前か直後を横断したことによって発生
交通死亡事故という最悪のケースを防ぐために横断歩道に注意を払う運転者のルールと、歩行者自身も安全第一な通行を心がける必要があることが、データからも顕著に表れています。
歩行者妨害違反の件数
警察では、近年取り締まりを強化しています。
私も、現職時代に取り締まり強化の指示を受けてきましたが、非常に違反と特定するのが難しい違反です。
こちらも警察庁のデータを引用します。
違反件数としては年々増加し、平成29年と比較すると約2.2倍の件数を取り締まりしています。
データからも、横断歩行中の事故割合が多いことから、取り締まりを強化していることが窺えます。
ドラーバーの意識はどれくらい?
実際にどのくらいの車が一時停止しているのか、2019年のJAFによる統計データを調べたところ、下記のとおりでした。
という結果です。
全国では17.1%、各都道府県別で見ると一桁のところもあるなど、差があります。
全国平均17.1%と聞いてどう思われるでしょうか。
海外では、100%というデータもあります。スイスがそれに当たります。
比較してしまうと、意識が低いと言わざるおえないのではないでしょうか。
意外と知らない歩行者のルール
では、先ほど、横断歩行者の事故の内、横断歩道以外の事故が約7割というデータをご紹介しましたが、歩行者のルールはないのでしょうか。
実は、歩行者にもルールがあるんです。
道路交通法で定められています。
(横断の方法)
第十二条 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。
2 歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。
(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2 歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/oudanhodou/info.html
と、また難しく書いてありますが、要点をまとめます。
- 近くに横断歩道がある時は、そっちを使う
- 斜め横断はダメ
- 標識に従う
- 横断歩道以外で横断するときは、車の直前や直後に横断してはいけない
といった内容です。
意外と歩行者マナーを見落としがちですが、交通死亡事故という最悪のケースを防ぐためのものです。
車の取り締まりの他、歩行者ルールを広報する活動も必要になってくると言えるでしょう。
安全を守るためには、ドラーバー・歩行者どちらの意識も高めることが必要と言えます。
実際の違反例
最初に違反を防ぐ3つのポイントの中で、道路交通法の「歩行者の通行を妨げる」
という部分が難しいという説明をさせていただきましたが、この違反は、非常に難しいのです。
筆者が現職中のころにあった違反のケースです。
【違反ケース】
歩行者に気が付いて慌ててブレーキを踏んで横断歩道前で停止→
歩行者が少しビックリしたが、先に行くように合図したので車は通行→
通行を妨げたということで違反
といったケースがあります。
解釈によって「妨げ」となるため、横断歩道があるなあと思ったら、「黄色信号」くらいのつもりがいいでしょう。
横断歩道手前は「赤信号」の様なつもりで良いと言えます。
実際の事故事例3選
では、実際の横断中の歩行者と自動車の事故をご紹介致します。
被害に遭われた方のご冥福と、ご家族や関係者の皆様の心のケアがなされることを心よりお祈り申し上げます。
大津市園児死傷事故
ご遺族の方のインタビューが掲載されています。決して風化させてはいけない事故です。
大津市で2019年、右折車と直進車がぶつかり、巻き添えで散歩中の保育園児ら16人が死傷した事故から8日で3年となるのを前に、事故で重傷を負った女児(6)の父親(34)が報道各社の代表取材にオンラインで応じた。父親は「事故現場を1日何千台もの車が通るが、何も思わない人が増えていくのは悔しい。一人でも多くのドライバーに事故を知ってほしい」と語り、事故を風化させないよう呼びかけた。
https://www.asahi.com/articles/ASQ566VT8Q56PTJB00H.html
【朝日新聞デジタル引用】
東池袋自動車暴走死傷事故
大きく報道されたため、記憶に残っている方もいらっしゃると思います。
別記事でも紹介していますが、高齢者の方の免許返納についても考えさせられる事例です。
東京・池袋で2019年4月、暴走した乗用車で母子が死亡するなどした事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対し、東京地裁は2日、禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を言い渡した。
判決は、事故原因について「ブレーキと間違えてアクセルを踏み込んだ過失が(被告に)ある」と認定した。この日は一般傍聴席22席に対し、563人が傍聴券を求めて並んだ。事故では、横断歩道を自転車で渡っていた松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が亡くなり、9人が重軽傷を負った。
https://www.asahi.com/articles/ASP924JJNP8ZUTIL04Q.html
【朝日新聞デジタル引用】
【高齢者の方の免許返納などについては、別記事でも紹介しています!是非、ご覧下さい!↓↓】
現職警察官が起こした歩行者死亡事故
最近(令和4年6月1日現在)では、現職の警察官が起こした事故についても報道されています。
千葉県鎌ケ谷市粟野の県道で30日午後8時45分ごろ、歩いて横断していた松戸市六高台、無職、高津弘子さん(79)が乗用車にはねられた。高津さんは胸を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。鎌ケ谷署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで乗用車の柏市高柳、行徳署刑事課巡査部長、岡本貴裕容疑者(30)を現行犯逮捕。
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/941424
【千葉日報引用】
現職中に目の当たりにした事故事例の特徴
筆者が現職中に目の当たりにした、事故について、特徴をご紹介致します。
筆者の印象としましては、やはり事件と比較すると、事故というのは日々発生しています。
その中で、今回の歩行者妨害に照らし合わせると、交差点の右左折時の歩行者や自転車を巻き込んでしまった事故が多い印象を受けます。
交通死亡事故は、運転手はもちろん逮捕されます。
亡くなられた方、そのご遺族の方も、病気などとは違い、ある日突然帰らぬ人となってしまうため、非常に痛恨な想いに直面してしまいます。
その後のご遺族の方へは、メンタルケアも非常に重要な問題であったと今でも感じております。
1件でも多く、未然に防ぐことが出来たらという想いで、筆者はこういう活動をしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
歩行者妨害についてまとめましたが、発生件数や違反件数の割には、ドライバーの意識の低さや案外知らない歩行者のルールがあったのではないでしょうか。
知らないということは、まだまだ広報活動が足りていないということです。
違反の取り締まれば良いというものではありません。
取り締まりの件数が増えても、実態調査でドライバーの意識の低さが出ている限り、直接的に効果的とは言えないのではないでしょうか。
もっともっと、正しい知識を付けてもらうことで、予防活動ができるはずだと思っています。
実際の事例にもあるとおり、悲惨な事故も発生しています。
警察としても、予防の観点から、是非、目立つ、分かりやすい標識の整備に向けた活動をして頂きたいところではあります。
しかし、すぐに全てを整備しきれないところがあるのが現状でしょう。
是非、3つのポイントを守って頂き、ドラーバーや歩行者の方、お互いがルールを守って、過ごしやすい町作りをしていくことが、安全な生活の第一歩となるのではないでしょうか。
1人でも悲惨な事故を無くし、事前に予防するために、3つのポイントを実践してみましょう。
筆者は、今後も事前に予防することに向けた発信を随時していきます!
【この記事を書いた人はこんな人です!是非、ご覧下さい!↓↓】
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