【お願い】大阪心療内科クリニック放火事件 ~悲惨な事件を防ぐ3つのポイント~
2021年12月17日、大阪でビルの4階にある心療内科クリニックで放火事件が発生しました。
25人が死亡、1人が重体がとのことです。記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
このニュースを見て、
「精神病の人は怖い」
「他人を巻き込むな!」
「近所や職場に同じ様な人がいたらゾッとする…」
などの気持ちを持ちませんでしたか?
そう思って当然だと思います。
では、同じことを繰り返さないためにはどうしたらいいのでしょうか。
このページでは、リサーチ結果と実際に長年、精神疾患を患ったことのある筆者の経験・メンタルクリニック医師への聴取結果を基に、防ぐためのポイントをご紹介します。
2度と同様の事件を無くし、精神疾患との向き合い方について参考にして下さい。
是非、最後までご覧頂ければ幸いです🙇♂️
と考えます。 では、目次に沿ってご紹介します。
目次
精神疾患に起因する事件を防ぐ3つのポイント
まず、結論から言って、
重症化する前の早期受診と医療体制拡充
です!
これに尽きます。
精神疾患に起因する3つのポイントとしては、
- 相談窓口の周知徹底
- 産業医には、心療内科センス
- 大規模病院との連携
と考えます。詳しく紹介します。
相談窓口の周知徹底
事態が深刻化する前に、少しでも「おかしいな」と思ったら相談することが一番です。
早めに相談、受診することが重症化リスクを減らし、早期回復につながります。
自分自身だけでなく、周囲に異変を感じたら、是非相談して下さい。
お互いが助け合うことで、精神疾患の偏見を無くすことにも繋がります。
下記に窓口を紹介します。是非ご活用下さい。
- 厚生労働省の相談窓口〜1人で悩まないで
→厚生労働省のホームページでは、4分程度の動画で紹介しています。また、各相談窓口も掲載しています。
ひとりで悩まないで ~気になるときは早めに相談しよう|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省 (mhlw.go.jp) - 各自治体
→現在は共通ダイヤルに電話すると、各都道府県や政令指定都市の公的な相談窓口に繋がります。SNSでも相談可能です。秘密は守られます。
まもろうよ こころ|厚生労働省 (mhlw.go.jp) - 職場や学校の窓口
→最近は、ほとんどの職場や学校にも相談窓口が設置されている所が多いです。
職場産業医の、心療内科センス
比較的大きめな職場には、産業医がいると思いますが、精神疾患に関する知識が薄い方もいらっしゃるのが実情です。
筆者の職場でも、内科や胃腸科の先生が担当していました。
もちろん、素人ではありませんが、精神疾患に対する専門的知識には薄く感じられました。はっきりと「自信は無い」ともおっしゃっていました。
しかし、現代の職場における精神疾患対策は、「アンケート」にとどまっています。
このアンケート、「本当に上司にバレないの?」と思いませんか。
ちなみに筆者は思いのまま書いて、上司にバレました。怒られました。(このことに関しては、後日、別記事で書きます。)
精神疾患の患者が多くなっている今だからこそ、産業医の先生には、専門知識を備え、早期発見に繋げてもらうことが、重傷化を減らす要因になります。
重傷化を防ぐことが、「拡大自殺」の防止にも繋がります。
大規模病院との連携
精神疾患系の病院に行くと、2時間、3時間待ちは当たり前の世界です。
それだけ多くの患者が待っています。
本当に、町の先生方には頭が上がりません。
是非、小規模病院では見切れない重傷患者の恐れがある場合は、大規模病院と連携して入院措置をとるなどして頂きたいと思います。
連携することが、問題点でもあげた「安全確保」に繋がると考えます。
では、大阪心療内科クリニック放火事件はどの様な問題があったのでしょうか。
大阪心療内科クリニック放火事件の概要と問題点3点
では、改めて事件の概要とともに、実際に親交のあるメンタルクリニック医師から聞いた問題点を挙げていきます。
大阪心療内科クリニック放火事件の概要
2021年12月17日、大阪 北区のビルの4階にある心療内科のクリニックが放火された事件では、巻き込まれた25人が死亡、1人が重体になっています。
警察は、この26人とは別に重篤な状態になっている谷本盛雄容疑者(61)を殺人と放火の疑いで捜査しています。
谷本容疑者は、大阪 西淀川区にある関係先の住宅から3キロ余り離れた現場のビルまで自転車で向かっていますが、捜査関係者によりますと、防犯カメラなどを調べたところ、途中、ほかの場所に立ち寄った形跡がないということです。
容疑者は先月下旬に、関係先の住宅近くでガソリンを購入していたほか、住宅の中からはクリニックに持ち込んだとみられるライターのオイルや果物ナイフのパッケージも発見されています。
クリニックは事件当日の午前10時から、仕事への復帰を支援するリワークプログラムが予定されていて、警察は谷本容疑者が関係先の住宅で事前に準備を終えたうえで、多くの人で混み合う時間帯をねらって直行し、事件を起こしたとみて捜査を進めています。
大阪放火事件 事前準備し混み合う時間ねらいクリニック直行か | 大阪 ビル放火事件 | NHKニュース
被害に遭われた方々のご冥福を心より申し上げます。
さて、この事件の問題点はどこにあったのでしょうか。
メンタルクリニック医師は、問題点3点をあげて下さいました。
心療内科の説明をしてから、順に説明します。
そもそも心療内科って?
よく聞くのは、精神科行ってみたら?という感じだと思います。
今回事件のあった心療内科とは何が違うのでしょうか?似た分野を比較してみました。
- 心療内科:「精神的な要因から身体症状が現れる病気」を治療する分野。例えば「上司のパワハラを受けて会社で頭痛」「受験のプレッシャーで下痢」のような症状。
- 精神科:「精神的な要因で精神症状が現れる病気」を扱う分野。「統合失調症」「躁うつ病」「アルコール依存症」などを扱う分野。
- 神経内科:脳神経系の疾患を扱う内科の一分野。「てんかん」「アルツハイマー病」「脳梗塞」など「主に身体症状」を扱う分野。
大阪心療内科クリニック放火事件の問題点3点
では、事件の問題点3点です。親交のあるメンタルクリニック医師が、問題点をあげてくれました。
- 心療内科の安全確保
- 拡大自殺であったこと
- クリニックや精神疾患患者に対する偏見を生む
の3点です。
まず、それぞれの問題点を見ていきましょう。
というようにカテゴリーが分かれています。
ただし、「心療内科」と「精神科」の住みわけは曖昧のようです。
患者が受診しやすくなるように、あえて「心療内科」「こころの(メンタル)クリニック」などと名乗ることが多いようです。
1 心療内科の安全確保
筆者と親交のある医師は、「ただでさえ、人手が足りない精神疾患専門医。ますます人手がいなくなる。」と嘆いていらっしゃいました。
心療内科に通う患者さんは、多種多少な方がいらっしゃると思います。
長年通っている方、初めて通院した方、大病院への転院を勧められる方などなど
町のクリニックの多くは、主治医の先生1人で何人もの患者さんを見ています。
その中で安全面を確保しなければなりません。
今回の案件では、リワークを開始する前で混雑している時間帯とのことでした。
また、中々「自分が精神疾患かもしれない」と思っても言い出しにくい世の中で、安全面を疑われてしまえば、ますます通院しなくなります。
様々な課題があるでしょうが、
- 完全予約性にする。
- 安全確保ができる上限人数までの診察にする。
- 手荷物検査の実施。
をすすめてはいかがでしょうか。
誰しもがなり得る病気だからこそ、安全に診察を受けるため、こういった対策が必要なのではないでしょうか。
2 拡大自殺であったこと
拡大自殺とは、
- 自分とは無関係の者を殺して自殺した場合
- 妬みや妄想の対象を殺して自殺した場合
- 愛し合う相手を殺して自殺した場合
- 自分が死んだら家族が生きていけないと家族を殺し、自殺した場合
を言うそうです。【参考: 拡大自殺 – Wikipedia】
今回の案件は、まさに拡大自殺と言えるでしょう。
巻き込まれた方や、そのご家族のお気持ちは推し量れません。
ここで重要なのは、重傷化する前に防ぐことが出来なかったのか。ということです。
筆者と親交のある医師は、
- 早期の受診
- 社会全体で精神疾患を認める
- 危険な状態にある患者は大規模病院と連携して対応する
といった対策が必要とおっしゃっていました。
3 クリニックや精神疾患患者に対する偏見を生む
筆者と親交のある医師は、これを1番強くおっしゃっていました。
これを機に診察に来づらくならないか?と。
精神疾患は、仕事や人間関係のストレスなどから、誰もがかかる可能性のある病気です。
筆者も、「まさか自分が…」と思っていました。
心療内科や精神科を受診する可能性は誰しもがあることから、今回の様な案件で、偏見を持たないで頂きたいと強く思います。
「あいつも危険人物だ」
「近寄らない方が良い」
といった思いはしないでもらいたいと思います。
実際に、精神疾患の方の数は増え続けています。
自分がなってしまった時、どう思うか?
薬を飲みながら働き続けている方も多くいらっしゃると思います。
もしかしたら、その方は、会社や同僚に内緒で通院しているかもしれません。
どうか、社会全体で精神疾患を受け入れる体制を整えてもらいたいと思います。
【関連記事】精神疾患に関する記事も掲載しています。是非ご覧下さい。↓
最近の似た事例3点
では、最近の似た事例を3点ご紹介します。
1 京都アニメーションへの放火事件
2019年7月18日昼前、京都アニメーション第1スタジオに当時41歳の男が侵入、バケツからガソリンを建物1階に撒いてライターで着火した事により、爆燃現象が発生した。
京都アニメーション放火殺人事件 – Wikipedia
結果としてスタジオは全焼、社員36人が死亡、33人が重軽傷といった大惨事。
2 北海道で、精神科医師が患者に刺殺
2013年8月21日午前11時5分ごろ、北海道三笠市宮本町の市立三笠総合病院の診察室で、診察中に患者の男(当時55歳)が精神科医、宮下均さん(当時53歳)の胸を包丁で刺し、男性看護師に取り押さえられた事件。宮下さんは間もなく死亡した。
診察室で医師刺殺の疑い 北海道・三笠、患者を逮捕: 日本経済新聞 (nikkei.com)
3 名古屋市の大学病院で外科医が患者に首を刺される
2019年8月9日午後6時ころ、愛媛県四国中央市の松風病院で、入院患者の45歳の男が刃渡りおよそ10センチのナイフで男性看護師を刺した後、廊下のガラスを割って逃走。
松風病院で事件発生【精神科患者で容疑者の顔画像やプロフィール、病院の情報、緊急時対応マニュアルについてご紹介】 | サク読み (yasetaiyasetai.work)
さらに、男は病院の敷地内で別の男性看護師2人を刺した後、およそ1キロ離れた路上で駆けつけた警察官1人を切りつけたとして、公務執行妨害などの疑いで現行犯逮捕された。けがをした4人は、いずれも命に別状はない。
どれも痛ましい事件ばかりです。
調べていくと他にも、
- 2014年、東京都内の大学病院で、元入院患者が計15本のガソリン瓶を投げて放火
- 2014年、千葉県と北海道で診察中の医師が刃物で襲撃
- 2018年、名古屋市の大学病院で外科医が患者に首を刺されている
などの事件も発生しています。
これだけ発生していれば、1人1人がもっと真剣に考え、行動しなければいけない問題なのではないでしょうか。
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※ 参考 被害に遭ったクリニックの先生の言葉
今回、被害に遭われたクリニックの西沢先生が患者に向けた言葉が掲載されていました。
ご紹介致します。
最初にかけられた言葉は、「来てくれてありがとう。大変だったね」。しんどい状態が続いていた時には「後ろを向くのは構わない。でも、前を向いたら絶対に良いことがある。少しずつでもいいから、上を向きましょう」と励ましを受けた。
「先生の分まで強く」患者支えた院長へ、そっと花手向け 放火1週間 [大阪・北新地のビル火災]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
真摯に患者さん向き合い続けた西沢先生と病院関係者の方、被害に遭われた全ての方のご冥福ををお祈りいたします。
最後に
いかがでしたでしょうか。
もし、自分やその家族が精神疾患になったら。
もし、自分やその家族が事件のあったクリニックに行っていたら
ここまで読んで頂いた方は分かると思います。
そうです。他人事ではないんです。
誰でもかかる可能性のある精神疾患であるがために、早めに疾患を疑い、受診しましょう。
そして社会全体で精神疾患の存在を認め、医師の指示に従いましょう。
もっと精神疾患の患者も、医師も生活しやすい社会になり、2度と不幸な事件を産まないために。
【この記事を書いた人はこんな人です!是非、ご覧下さい!↓↓】
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