お菓子のような麻薬!?最も危険な物質“フェンタニル”に米麻薬取締局も警鐘
上の写真に写っているもの、なんだと思いますか?
お菓子にしか見えないでしょう。
実は、最も危険な物質といわれ、高い致死率と依存性をもった“フェンタニル”という危険物質です。現在、アメリカでは若者や子供を中心に広く出回り、被害者が続出中と、社会問題になっています。
日本でも医療の現場では使用されることがありますが、一般的には出回っていないため、分らなくて当然です。しかし、もし自分の子供が「お菓子だよ」と与えられたら…恐ろしい気持ちになりますよね。
現在はアメリカでのできごとですが、いつ日本に入ってきても決して不思議ではない“フェンタニル”。知識を持ち、備えておくことは大切なことです。
今回は、元警察官として約18年勤務した筆者の経験とリサーチから、最も危険な物質“フェンタニル”について説明します。
お菓子の格好をして近付く恐ろしい“フェンタニル”の危険性や、現状などを知り、事前に予防しましょう。
目次
フェンタニルとは
使い方を間違えると非常に危険物質となるフェンタニルですが、医療の現場では重宝されています。主に、麻酔や痛みの緩和に使用され、特にがんの疼痛治療や手術の麻酔時に医師によって使用されるものです。医師の元で無ければ、麻薬に指定されているため、取締りの対象となります。
麻薬とされているのも、以下に示すとおり、フェンタニルが持つ強い作用や副作用などから指定されているのです。
フェンタニルの作用は?
フェンタニルは、全身麻酔や激しい痛みの鎮痛に効果があるとされています。鎮痛剤として有名なモルヒネと比較すると、フェンタニルの方が約50から100倍の鎮痛効果がある強力なものです。
フェンタニルの副作用は?
フェンタニルは効果が強い分、副作用も強く、注意が必要です。主な副作用を列挙します。
- 薬物依存
- 無呼吸
- 血圧低下
- アナフィラキシー
- ショック
- 呼吸抑制など
【参考: 日経メディカル・処方薬事典/https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/82/8219400A1055.html】
副作用は多数あり、その種類も危険なものばかりです。医師の処方以外では、麻薬とされる理由が納得のいく物質といえます。
フェンタニルの危険性は?
フェンタニルの危険性は、麻薬として名高いヘロインの約50から100倍とも言われる危険物質です。少量の摂取、または触れるだけでも体内に取り込まれて死に至ることもある恐ろしいもの。麻薬としての依存性も高く、死に至らなくても中毒になってしまう可能性が高い恐ろしいものです。
何故お菓子のような形をしているのか
では、そんな危険な麻薬がなぜお菓子のような形をして流通しているのでしょうか。
現在アメリカでは、フェンタニルが安価でお菓子のような形で出回っていることから、被害に遭う人が急増し、社会問題となっています。
フェンタニルの問題に対し、米麻薬取締局は、「若者や子供がターゲット」として警鐘を鳴らすとともに、中国がフェンタニルの製造・密輸に関っているとし、「責任を負わせるべき」と発表しています。
【参考: 大紀元・エポックタイムズ・キャンディに似せた中国製フェンタニル…米麻薬取締局「若者と子供がターゲット」/https://www.epochtimes.jp/2022/10/120276.html】
後述するロス市警で働く永田有理さんは、若者や子供を狙う理由として、若者や子供を依存させることで、長期間の莫大な収益になることを目しているのではないかと、注意を呼びかけながら活動中です。現場の声としてあがるほど、若者や子供の間で流通している危険な状態といえます。
データとしても、アメリカの国立薬物乱用研究所博士は、「フェンタニルが原因で10代や若い大人の死亡者が40%増加している」としています。さらには、2021年中の統計によれば、全米で麻薬の過剰摂取が原因で死亡した数は10万人を超え、フェンタニルによるものは、そのうち約7万人と、7割近い数字が出ています。それほど、アメリカではフェンタニルが若者や子供を中心に急増していることを証明しているデータといえるでしょう。
また、2022年9月には、同麻薬取締局はフェンタニルの錠剤1万5,000錠を押収したところ、その内、約40%という高い割合で致死量を含んでいたと発表しているのです。子供が気軽に口に入れられるように、お菓子を模倣した形に加工されたフェンタニル。決して許されるものではありませんし、子供を騙し、お菓子の袋に大量に入れる卑劣な犯罪です。早期解決が待たれます。
広がりを見せるフェンタニルの恐怖。子供達には、「お菓子はもらわず、おうちの物を食べるように」と、言い聞かせた方が良いでしょう。
ロス市警で働く現役日本人女性警察官も警鐘
ロス市警で働き、SNSを中心に犯罪予防を呼びかけている現役日本人女性警察官、永田有理さんもフェンタニル問題に警鐘を鳴らしています。永田さんのInstagramで発信された、フェンタニルに関する興味深い現場視点の投稿を2つ紹介します。2つの投稿内容をまとめると以下のとおりです。
- フェンタニルはお菓子のように出回っている
- 中高生によるフェンタニル大量摂取が急上昇している
- お菓子のような形状から流通しやすく、警察に押収されにくい特徴がある
- ハロウィンやクススマスなどのイベントを狙って、多くの子供を麻薬中毒にしようとしている
- SNSや子供用アプリを使用して麻薬ディーラーは子供に近付く
- 麻薬ディーラーは、目立たないように「優等生」というイメージを装っている人が増えている
- 子供へ危険性を伝えることが大切になる
- フェンタニルは微量でも命を失う危険なもの
- 触れただけで細胞から入り、命を失う危険性がある
- ハロウィンでもらったお菓子は食べない方が良い
- 命が優先
【参考: 永田有里/Instagram/https://www.instagram.com/p/Cja5HVyLJgR/?utm_source=ig_web_copy_link https://www.instagram.com/p/CjbNL0xPApw/?utm_source=ig_web_copy_link】
現場の貴重な体験と、被害を減らしたいという切実な想いが伝わってくるメッセージです。ロス市警の過酷な現場で働きながら、このような発信活動を続ける永田さんの想いを決して無駄にしてはいけません。
日本への影響も懸念
アメリカでのできごとだから、日本は大丈夫!と思っていたら大間違いです。2019年の記事ではありますが、中国からフェンタニルが郵送されアメリカに流入したし、次の流入先は日本だとされています。
【参考: News weak日本版/中国から郵送で密輸されるドラッグ、次の標的は日本だ/https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/12/post-13633.php】
隣国からの流入はいつでもあり得ること。他人事とは思わずに、今から知識を付けて命を守る行動を取りましょう。
子供のお菓子に注意を
いかがでしたでしょうか。最も危険な物質ともいわれるフェンタニルが、いかに危険なもので、区別が付きにくく、口にしてしまいがちな形をしているか、お分かり頂けたと思います。
麻薬ディーラー達の私利私欲にまみれ、命を軽々しく扱う行為を、絶対に許してはいけません。まずは自分や家族など、大切な人達を守るために、知識を付けておきましょう。
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